こんにちは。本日は「ARTFX J 道蓮・ホロホロ」フィギュアの開発秘話、第3回をお届けします!
今回はフィギュア製作の専門用語が多くなりますが、お付き合いいただけますと幸いです。
こちらは前回のブログ後半でご紹介させて頂いた試作原型の写真です。
この試作原型は講談社の担当さまに現物を確認頂き、蓮とホロホロのサイズ感の対比や実際に並べたボリューム感を中心とした打ち合わせをいたしました。
・サイズ感、対比はシャーマンキング展のキービジュアルが最新設定なのでそれを参考に製作
・蓮、ホロホロを並べて飾れるように2体ベース形状の調整
という方向性で、先生に頂いた監修内容と合わせて製作を進行することになりました。
現状は原型の完成度で言えば75%ほど…という所です。ここから赤線の様な形でシワのメリハリやラインを整え細部のブラッシュアップを行いました。
また、馬孫の玉のサイズも阿弥陀丸と統一する形で調整を行いました。
蓮との対比としてもかなり印象が変わったのではないでしょうか…!
修正した原型画像をお送りし、先生の原型監修OKとなりました!(お忙しい中の監修、本当にありがとうございました…!)
こちらが完成した複製原型の写真です。
▲既に彩色見本が公開されていますが、造形としてのディティールはこのグレーの状態がしっかり見ることができますよ!
パーツを分割し3Dプリンターで出力を行います。ここで3Dを使用した作業は終わり、残りは手作業に移ります。
形はもうできているのに手作業で何をするの?と疑問に思った方もいるかもしれません。実は仕上げ作業がまだ残っているのです。
こちらは蓮の原型を一度組み立て、全体の確認を行った際の写真です。
実は3Dプリンタで出力を行ったパーツは画像赤矢印のように表面が荒れている状態で出力されます。
ですのでこの状態から表面のディティールや形状が変わらないよう慎重にパーツを磨いていく工程が入ります。技術や根気が必要な作業です…!
原型完成までの残り作業
・紙やすりなどを使用し全てのパーツの表面をきれいにする※表面処理と呼びます
・パーツ同士の隙間や組み立てたときにぐらつきが無いようにする※勘合調整と呼びます
大体表面処理と勘合調整の作業に2週間前後(!)かけています。蓮の場合、原型は全部で61パーツでしたので61パーツ全て仕上げていきます…!
ちなみに原型製作を行っている作業場所はこんな感じ!
机の上の道具やレイアウトは人により様々ですが各自作業しやすいように道具の配置なども含めて工夫がされています。
▲原型師の作業机。形状の異なるナイフや彫刻刀・ヤスリ・ドリル・パテ各種・接着剤etc…原型製作に欠かせない道具が並んでいます。
手前のボックスの後ろから天井に向けてダクトが伸びており、しっかり換気が行える設備が整っています。
▲ヤスリがけをしたときに出る粉や塗料を薄めるためのシンナー、パテなど正直体に良いものではないものが多いです…。なので換気ができる設備がとても重要です。
1~4のような形で表面処理や勘合調整を進めていきます。2では髪の毛の隙間を無くすためパテを使い調整を行いました。4は前髪がほぼ仕上がった状態になります。
ベース部分は細かいディティールが多いですが、髪の毛と同じ様に作業を進めました。
全てのパーツの処理が終わった所で原型完成!となります!
完成した原型は、彩色原型を作成するためシリコン型を作成し複製を行います。
このような形でパーツ毎にシリコン型を作成していきます。右側の写真は馬孫のシリコン型です。
馬孫のシリコン型にレジンキャスト(樹脂)を流してみました。パーツ形状の他、樹脂を流す為の湯口が付いている状態です。
彩色見本や複製原型を作成する際にはこの湯口を除去して組み立てを行います。
▲複製品の使用用途によってグレー、白、透明の樹脂を使い分けています。
今回の内容は文章にまとめるとやや地味目な内容かもしれませんが、フィギュア製作に欠かせない内容ですのでご紹介させて頂きました。
パーツの複製が終わりましたのでいよいよ彩色見本(デコマス)の作成に入っていきます!
次回の更新は5月29日(金)ごろの予定です。お楽しみに! →開発秘話第4回はこちら
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©武井宏之/講談社
※画像は監修中の試作品です。実際の商品とは異なる場合がございます。
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